日本の第一三共株式会社と、オーストラリアのビオタ社が共同開発した、インフルエンザ感染症治療薬の一般名。ウイルスの活動にかかわるノイラミニダーゼ(NA)という酵素を阻害することで、体内での増殖を抑える。吸入治療剤なので、ウイルスの感染部位である気道や肺に長時間とどまり、直接作用させることが可能。そのため、オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)の用法が、1日2回ずつ5日間投与であるのに対し、成人・小児とも1回のみの投与ですむ。効能面では、新型インフルエンザA-H1N1や強毒型鳥インフルエンザH5N1の治療に対しても有効であることが、非臨床レベルで確認されている。2010年3月現在、このラニナミビルのプロドラッグ体(生体内で代謝されることで効力を発揮するような構造の薬)として、吸収性や作用性などを独自に改善した、純国産の抗インフルエンザウイルス薬CS-8958が、国内製造販売に向けて承認申請中である。