1~10μm(マイクロメートル、100万分の1m)の径で、コイル状に巻かれた炭素繊維で、0.1~100mmの長さをもつ。黒鉛の基板の上に、ニッケルや鉄を混ぜた粉末をまき、アセチレンを主成分とした原料ガスを供給しつつ、摂氏750度前後の温度で加熱することによって合成される。岐阜大学の元島栖二教授が発見したもので、コイル状であることに基づく独特な性質を示す。動物の細胞へ注入した場合、メカニズムは判明していないものの、ケロイドの発生やがん細胞の増殖を抑える効果や、表皮細胞の増殖率を上げる効果が確認されている。特筆すべきは、電磁波を吸収する特性で、その構造や電気的な物性によって、電磁波を散乱させるなどして、減衰させてしまうことにより効果を発揮する。精密電子機器を保護する目的での使用はもちろん、この減衰した分のエネルギーが熱に変換されることを利用して、電子レンジで金属を溶かすことのできる「るつぼ」としての実用も始まっている。また、超小型アンテナや触覚センサーへの応用や、水素を貯蔵する素材としての可能性も研究されている。