化石燃料の燃焼や砂漠化による砂塵(さじん)など、エアロゾルによって生じた人工的な大気汚染で、単に褐色雲ともいい、1999年に存在が認識された。ススや化学物質などを含み、日光を吸収するスモッグで、呼吸器や心臓の疾患が増えたり、褐色雲近辺の大気温が上昇するのに反して地表の温度は下がるため、農作物の収穫量が減ったりする。さらに、アジア地域のモンスーン異常など、気候変動との関連も指摘されている。新たな環境汚染問題として2003年から褐色雲問題に取り組んでいる国連環境計画(UNEP)は、08年11月13日に発表した報告で、厚さ3kmの褐色雲が、アラビア半島から中国、西太平洋にまで拡散していると公表。ヒマラヤの雪氷が溶ける温暖化や、健康への悪影響を警告した。報告では、バンコク、北京、カイロ、ニューデリー、ムンバイ、ソウル、上海など13の大都市を、褐色雲が現れやすい「ホットスポット」としている。中国の広東省では、1970年と比べて、20%も日照量が減ったという。