昨今報告されている、きわめて特異な形状の雲に対する暫定的な呼称で、ラテン語の「荒い」を意味する。広大な平野部の上空一面に、荒れた海のように波うち、逆巻き、不自然なうねりを形成するという、ダークファンタジーの世界観さながらの不思議な様相を見せる半面、気象条件の悪化はともなわない。アメリカ、スコットランド、タスマニア、ニュージーランド、フランスなどで撮影された、まるでCG(コンピューター・グラフィックス)を使って加工されたような写真が、さまざまなサイトで紹介されている。報告自体がここ最近のことで、観測例もまれであるためにデータが少なく、このような雲が形作られる理由は判明していないが、地球温暖化との関連も含め、暖かい空気と冷たい空気の層が強風でかき乱されると考える説がある。イギリスの「Cloud Appreciation Society」の創設者であるギャビン・プレイター・ピニー氏は、王立気象学会とともに、WMO(World Meteorological Organization 世界気象機関)に気象分類上の新種としての認定を求める準備を進めており、1951年の「巻雲(けんうん cirrus intortus)」以来の新たな認定となる可能性がある。