国際標準の近距離無線通信規格の1つ。ソニーとフィリップス(現在のNXPセミコンダクターズ)が共同で開発し、2003年にNFCIP-1がISO/IEC18092として、05年にはNFCIP-1の拡張仕様であるNFCIP-2がISO/IEC21481として、ISO(国際標準化機構)に承認された。近距離無線通信規格は、NFC以外にBluetoothやZigBeeなどがある。NFCの通信距離は10センチ程度で、周波数帯は13.56メガヘルツを利用する。通信速度は106k、212k、424k、848kに対応。NFCは、たばこの成人識別カードのタスポや運転免許証などに代表される非接触型ICカードの国際規格ISO14443(タイプAとタイプB)や、Suicaやおサイフケータイに代表されるFeliCaの無線通信部分を取り込んで標準化したもので、NFC機能を搭載した機器同士であれば、かざすだけで双方向でデータ通信が可能になる。10年12月、Googleは自社が開発しているモバイル向けOSのAndroidへのNFC標準搭載を発表、11年9月には、NFCを利用したモバイル決済サービス「Google Wallet」(グーグル・ウォレット)の提供をアメリカで開始した。同年10月に発表したAndroid 4.0では、端末同士の背面を近づけると、画面に表示しているGoogleマップやウェブサイトなどの情報を転送できる「Android Beam」(アンドロイド・ビーム)も搭載した。日本では、12年1月、KDDIが日本で初めて携帯端末向けにモバイルNFCサービスを開始することを発表。電子マネーなどのモバイル決済機能、会員証などとして使えるカード機能、ポスターなどのNFCタグを読み取るリーダー機能、NFC対応機器同士でデータ通信が行えるピアツーピア機能などが利用できるようになる。