人間共生ロボットをコンセプトとする、日立製作所の人型ロボット。初代EMIEWの後継機となり、人と密接する場所でのサポート機能を強化するべく2007年に開発されたが、新しい機能が段階的に追加され、進化を続けている。EMIEWの名は「機敏に動き、会話のできる仕事仲間(Excellent Mobility and Interactive Existence as Workmate)」に由来。人型ではあるが、かかとの車輪で二輪走行するタイプとなり、ひざに球体キャスターを設けてあるため、正座をするようにひざを折って、より安定した四輪姿勢をとることもできる。初代EMIEWから踏襲(とうしゅう)した顔認識機能や、動いている障害物をも回避する衝突回避機能、音声認識と合成音声技術による対話機能を持ち合わせ、身長は80センチ、重量は14キロ(開発当初は13キロ)と、サイズはコンパクトにまとめられている。10年には、14個のマイクで音を立体的に捉え、雑音の中でも人の声を聞き分けることができる機能のほか、床面の段差に乗り上げたときの衝撃を吸収しつつ、傾いた姿勢を足回りの伸縮で補正するアクティブサスペンション機構が加えられた。その後も、(1)ウェブ上の画像データをもとに構築したデータベースと、それらの画像と一緒に使われている文書のテキスト情報から、物の形とその名前を推定する「物体認識技術」、(2)あらかじめ屋内に設置しておいた複数のネットワークカメラと(1)の技術を連携することによって、撮影されているすべての映像の中から特定の物を見つけ出す「物体探索技術」、(3)カーブのときに最適の姿勢を計算する「モデル予測姿勢制御技術」が追加搭載され、12年2月に発表された。(1)と(2)の新機能によって、物の名前をたずねられることがあっても、その名前を推定して回答できるようになるうえ、屋内カメラが捉える映像との照合によって探し物の場所を突き止め、その場所まで案内できるようになるなど、コンセプトに掲げる人間共生型のサポート機能がさらに発展した。