アジアに伝わる星や宇宙にまつわる神話や伝説を集めた物語集。2011年1月17日、国立天文台をはじめ、中国、韓国、インドネシア、マレーシア、タイ、インド、モンゴルなどアジア十数カ国・地域が参加する国際チーム(事務局・国立天文台)が英語版を完成させたと読売新聞が報じた。2009年の「世界天文年」で行われた天文学普及事業の一環として、「世界天文年2009日本委員会」が独自に行う主催企画「アジアの星の神話・伝説プロジェクト Asian Myths and Legends of Stars and the Universe」(略称「アジアの星」プロジェクト)により生まれた。同プロジェクトは、アジアには古くから各国・地域に伝わる豊かな星や月の物語がありながら、実際に流布するのがギリシャ・ローマ神話に基づくものばかりである現状を憂い、改めて、これらをまとめて紹介することで、プラネタリウム番組や学校教育などに生かし、アジアの豊かな星文化を広め、共有することが目的。すでに08年からワークショップや各国レベルでの物語の採集などが行われてきたが、09年5月に国立天文台三鷹キャンパスで開かれた第1回国際ワークショップにおいて国際編集委員会が組織され、各国言語へ翻訳するための元本となるCommon Book「Stars of Asia」(英語版)の編集が本格始動した。こうして集められた物語は、14カ国・地域の73話。日本からは、昴(すばる)を歌った八重山の古謡「むりかぶしユンタ」、北極星が動くことを見つけた難波の「徳蔵の星」、北斗七星にまつわるアイヌ神話「星になったサマエン神の歌」、西日本に伝わる羽衣伝説型の「七夕伝説」などを収録。今後は出版社を探し、各国の挿絵などを入れた美しい本に仕上げて、各国で同時出版を目指す。