材料を燃えにくくする難燃剤や半導体などに広く用いられる希少金属(レアメタル)の一種。銀白色で光沢がある塊、あるいは暗灰色の粉末で、燃焼したり、酸などと接触したりすると有毒なガスなどを放出する。アンチモンは世界供給量の8割以上が中国で生産されており、日本は9割以上を中国から輸入している。中国は、10年4月より、資源保護を理由としてレアメタルの生産を規制しており、11年2月には、アンチモンを含む主要レアメタルの11年の生産上限量を発表。同年4月上旬には、アンチモンの国際価格が過去最高値をつけた。一方、11年4月19日、岡山大学大学院自然科学研究科の山中寿朗准教授を代表とする研究グループが、鹿児島湾海底で自律型海中ロボットを用いた調査を07年、08年におこない、同海域にアンチモンの硫化物である輝安鉱の塊があることを確認したと発表。若尊(わかみこ)火口の水深200メートルのところに直径1.5キロメートル程度、厚さ5メートル程度におよぶ鉱床が分布しているという。輝安鉱の埋蔵量は、1500万トンと推定され、そのうちアンチモンは、90万トンと見込まれている。その量は、10年に国内で販売された量の180倍におよぶ。また、その輝安鉱には金も25トン程度含まれているという。ただし、採掘するには、強い毒性によって海洋が汚染されないように新たな技術開発が必要とされる。