日本の伝統文化の中でもなじみ深い「折り紙」の発想や手法を、テクノロジーの現場に取り入れようとする学問。京都大学の野島武敏助教らが提唱し、日本応用数理学会に研究部会も発足している。1枚の平面プレートに、「山折り」と「谷折り」のパターンを設け、折り紙さながらに3次元の構造体を作り出し、機能性をもたせる。折り目の角度や配列パターン、折り目が作り出す頂点や辺同士のつながり方など、平面プレートの折り方は、目的とする3次元の構造から、方程式で計算し、設計される。その際、わずかな折り方の違いで、(1)構造体に高い強度をもたせることもできるし、(2)逆に簡単な力と動作で平面と立体とを行き来させることもできるようになる。野島助教が考案した「ダイヤモンドコア」は(1)に相当。三角形の折り目が組み合わさって無数のピラミッド構造を作る構造体で、軽さに反して強度が高く、航空・宇宙分野をはじめ、自動車や建築物などへの応用も視野に入っている。また、同助教は(2)の例として、軽くねじりながら圧縮するだけで簡単につぶせるペットボトルも提案。三浦公亮東京大学名誉教授が、大きな地図の畳み方として考案した「ミウラ折り」などは、(2)の例として特に有名。「ミウラ折り」を用いると、対となる二つの頂点をつまんで広げるだけで、一瞬にして大きな地図が展開し、その逆の手順で小さく折り畳めることから、人工衛星の展開式太陽電池パネルにも採用されている。