東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授らが発見した、ES細胞、iPS細胞に次ぐ第三の多能性幹細胞。2010年4月19日付のアメリカ科学アカデミー紀要に発表した。出澤教授は、京都大学大学院理学研究科の藤吉好則教授との共同研究で、ヒトの骨髄や皮膚の中に、神経や筋肉など体のあらゆる組織に分化する能力を持つ幹細胞があることを発見。分離・培養も成功した。多能性を持った新たな幹細胞として「Muse細胞」と名付けた。iPS細胞は、遺伝子を導入することで多能性を持たせるため、がん化(無限増殖)することが問題になっていたが、Muse細胞はもともと生体中に存在しており遺伝子を導入する操作の必要がない。またストレスに強いのも特性の一つで、培養液に長時間ストレスを与えると、Muse細胞が濃縮された。Museは「ストレスに強い多能性細胞」を意味する英語の頭文字からとった。将来の再生医療への応用が期待される。