放射性物質の除去と回収技術に役立つ吸着材料と、その機能性をまとめたデータ集。物質・材料研究機構(NIMS)が運営する物質・材料データベース「MatNavi」で2011年12月13日から公開が始まった。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を受けての福島第一原子力発電所事故によって大量の放射性物質が環境に放出されるに至り、一部の田畑や森林、建物や道路、そして海や川や池など、国内の特定の地域は深刻な放射能汚染にさらされることとなった。中でも、ヨウ素131などの放射性ヨウ素、セシウム137などの放射性セシウム、ストロンチウム90などの放射性ストロンチウムによる汚染は広範囲にわたり、セシウム137やストロンチウム90はおよそ30年にも及ぶ長い半減期をもっていることから、除去と回収の作業が急務になっている。その方法はいくつか考えられているものの、現在もっとも有効なのが、天然の鉱物に吸着させて回収する方法である。しかし、ゼオライトやバーミキュライトなど、同じ名前が付けられている鉱物であっても、産地が違えば吸着能力に差が生じたり、同じ鉱物を用いたとしても、汚染環境の化学的状況や放射性物質の濃度が異なれば、吸着率も変わってきたりする。そのように、ケース・バイ・ケースの使用状況下において最適な吸着剤を選ぶための指針を設けるべく、NIMS、岩手大学、電力中央研究所など、国内の7大学・4独立行政法人・1財団法人がデータ集の構築を行ったものがREADSである。現状では、産地ごとに分類した候補材料60種を取り上げたうえで、放射性ヨウ素、放射性セシウム、放射性ストロンチウムに対する特性を公開しているが、今後も随時更新していく予定という。サイト利用は無料だが、登録が必要となる。