円柱などの曲面部にも、巻き付けるように設置できるディスプレー(画像表示装置)。昨今、複合施設や公共施設などを中心に、液晶などのディスプレーを使って動画や静止画の映像情報を表示するデジタルサイネージ(電子看板)が普及を始めた。こうしたディスプレーの大半は、構造上湾曲させることが難しく、壁などの平らな場所にしか設置できなかったが、富士通フロンテックと篠田プラズマは、曲面にも対応できるディスプレーを開発し、2010年5月10日に発表した。篠田プラズマが開発したプラズマチューブアレイ(PTA plasma tubes array)方式によるフィルム型のディスプレーデバイスを活用したもので、(1)赤・青・緑それぞれの色に発光するプラズマチューブを各色1本ずつ並べて一組の単位とし、(2)これをすだれのように連ね、(3)たくさんの電極を並べたフィルム状のシートで挟み込むことによって、ディスプレーを形成する。このプラズマチューブは、直径1mm×長さ1mのガラス管に蛍光体を封入したもので、細かく区切った多数の電極の間で起こす放電によって、1本のチューブの特定の区間を発光させるような制御ができるようになっている。この大型ディスプレー技術と、富士通フロンテックが培ってきた情報・映像装置の技術が融合することで、デジタルサイネージの設置条件を拡張する曲面ビジョンが完成した。発表されたものは、直径1mの円柱に、縦2m×横1mの画面サイズで映像を表示するもので、PTAモジュール2枚で構成し、制御部や電源部の一体化とコンパクト化によって、厚さ50mmの薄型化にも成功。さらに、従来の同サイズの平面ディスプレーに比べて、消費電力、重さともに2分の1以下となり、2010年度内の製品化を目指すという。