地震によって地盤が一時的に液体のようになる現象のこと。海や川などの周辺の埋め立て地といった、砂が多く含まれ、砂の粒子が緩く堆積(たいせき)しているような地盤で、地下水面が地表近くにある場所で発生する可能性が高い。こうした地盤では、通常は地盤となる土や砂の粒子は相互に重なり合い、かみ合って地盤を支えている。地下水位以下の深さでは、この粒子のすき間に水が入り込んでいる状態になっている。しかし、地震によって地盤が左右に揺すられると、粒子同士のかみ合った状態がはずれてバラバラになり、粒子が水に浮いた状態になって地盤を支える力がなくなる。これが液状化現象が発生するメカニズムである。その後、バラバラとなった粒子は時間の経過とともに結合するが、粒子のすき間にあった水は地表面に流出する。液状化が起きると、地盤の沈下や陥没とともに建物の傾斜や不ぞろいの沈下(不同沈下)が起き、建物の倒壊にいたる場合もある。また、水と砂が地中から吹き上げる噴砂とよばれる現象やマンホールなど地下構造物が浮き上がる現象が起き、ガス管、上下水道管の破断など地中埋設施設に大きな被害をもたらすこともある。日本では、1964年の新潟地震の際に、砂層地盤が液状化して多くの建物や橋が沈下や倒壊し、地震における液状化現象とその被害が注目されるようになった。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、千葉県浦安市が全市の約4分の3にあたる地域で液状化被害を受け、上下水道などのライフラインに深刻な影響をもたらした。