月が金星の前を横切って金星を覆い隠す現象。惑星食の一つで、月による金星の掩蔽(えんぺい)ともよばれる。月は満ち欠けを繰り返しながらおよそ1カ月(27.3日)で地球の周りを1周するが、その際に金星や火星、木星などの惑星に接近して背後に覆い隠す惑星食がまれに起こる。2012年8月14日未明には、石垣島など一部を除く、ほぼ日本全国の東の空で金星食が観測できる。今回は月齢26の細い月の光っている側から金星が潜り込み(潜入)、暗い側から再び姿を現す(出現)が、その様子は肉眼でも十分に確認できる。東京では午前2時44分から潜入が始まり、1分以上かけて金星が完全に月の後ろに隠れた後、3時29分に出現する。空が暗い状態で、潜入から出現までを、ほぼ日本全国で観察できることは珍しい。金星食は03年5月29日の白昼にも起こったが、暗い空でしっかりと見られるのは、1989年12月2日の夕方以来23年ぶり。次回、比較的よい条件で金星食が日本で観測できるのは51年後の2063年5月31日になる。