生物の動向を観測して、季節の移り変わりや総合的な気象状況を把握し、また、生活情報として利用するための気象庁の観測調査。現行の調査は1953年から開始された。観測は、植物の開花や紅葉の日などを記録する植物季節観測と、鳥や昆虫の姿をその年に初見したり、初鳴きを聞いたりした日を記録する動物季節観測があり、桜前線も、この生物季節観測を基に作られている。観測対象は、全国で一律に観測される規定種目と、各地気象台が地域性などから独自に選ぶ選択種目に分かれる。規定種目では、植物12種目と動物11種目が決められており、植物ではウメ、ツバキ、タンポポ、ヤマツツジ、ノダフジ、ヤマハギ、アジサイ、サルスベリ、ススキの9種目の開花、ソメイヨシノの開花と満開、イチョウの発芽、黄葉、落葉、イロハカエデの紅葉と落葉が記録され、動物では、ツバメ、モンシロチョウ、キアゲハ、トノサマガエル、シオカラトンボ、ホタルの初見、ヒバリ、ウグイス、アブラゼミ、ヒグラシ、モズの初鳴きが記録される。観測は、通常、各地の気象台や測候所の構内、周辺などで、人が目で見、耳で聞いて記録される。2006年に行政機関の定員削減計画が閣議決定されて後、気象庁では有人測候所の無人化が進められており、無人化にともなう観測打ち切りによって、観測地点は減少しつつある。