動物の筋肉中に含まれるペプチド(アミノ酸の結合体)で、抗疲労作用などさまざまな生理機能をもつ。1929年にガチョウの筋肉組織から発見され、β-アラニンとメチルヒスチジンという2種類のアミノ酸が結合した構造をもつ。人間の体内には存在しないが、鳥類のほか、マグロやカツオなど大型回遊魚の筋肉に多く含まれ、疲労の緩和、活性酸素の除去、血圧の降下、尿酸値の降下などの作用をもつことが試験研究によって報告されている。これまでアンセリンは鶏のムネ肉由来のエキスから精製されていたが、高純度の精製は困難だった。焼津水産化学工業株式会社(本社・静岡県焼津市)は魚のアンセリンに着目し、世界で初めてマグロとカツオのエキスから高純度のアンセリンを精製する生産技術の開発に成功した。同社が量産化に乗り出したことで、サプリメントをはじめ、アンセリンを配合した粉末緑茶や野菜系飲料といった新商品が市場に出回るようになっている。