大学と企業間や企業同士、あるいは産学官連携で共同研究を行う場合に設立できる法人格を持つ組織体。法人格により組合名義で特許権の登録や、不動産の登記、銀行との取引、特許権の一元管理も可能となる。また将来事業化へ向けて、株式会社や合同会社へと改組したり、複数の会社、複数の技術研究組合に新設分割することが可能である。一方、この組織を解散して、参加メンバーらは研究成果を持ち帰って活用することもできるというメリットもある。これまで大学や独立行政法人などの研究組織が専門知識を持ちながら、それを実現化するノウハウや営業力に欠けることから、事業化に支障をきたすというケースも多い。技術研究組合はこうした欠点を補い、研究開発から生まれるベンチャービジネス(VB)を育成するツールになるものとして期待されている。技術研究組合制度の前身は、鉱工業技術研究組合制度(1961年)で、これまで、LSI(大規模集積回路)の量産技術を開発した「超LSI技術研究組合」、太陽電池セルの基本構造・集光技術を開発した「太陽光発電技術研究組合」、SuicaなどのICカードの基盤を構築した「汎用電子乗車券技術研究組合」など185組合が設立され、多くの成果を挙げてきた。しかし旧法では研究開発を行うための組織体であり、営利事業を行うことができず、会社組織への変更も許されないため、研究開発後には解散する以外になく、研究成果が散逸するおそれもあった。2009年に抜本的に改正され、技術研究組合法では事業化への道が開かれた。また設立要件が大幅に緩和され、2人以上の法人または個人が定款と研究の実施計画書を作り、主務大臣の認可を受ければ設立は可能である。技術研究組合は大学・企業・公的研究機関などのメンバーで構成され、運用はメンバーの賦課金でまかなわれる。共同研究開発のための組織体には、合同会社(日本版LLC)、有限責任事業組合(日本版LLP)などがあるが、技術研究組合は前2者の長所をかね備えた制度であるといわれている。