太陽光から超高温のレーザーを得る装置。東京工業大学の矢部孝教授らの大学発ベンチャー、エレクトラ社では、2007年7月25日、北海道の千歳市に3基の集光装置からなる試験プラントを設置、実験運転を開始した。集光装置は、1辺が2mある透明のプラスチック板に同心円状の微細な溝を刻んだフレネルレンズを使用し、太陽を自動追尾する。この開発は、燃料電池などに用いる水素を獲得し、新エネルギーサイクルの確立を見据えたものとなる。水素は、水とマグネシウムの反応でも得られるが、その際、酸化マグネシウムという物質も作ってしまう。だが、酸化マグネシウムは4000℃の高温で熱すれば、元のマグネシウムに戻り、再び水素を得るために使うことができる。レンズで太陽光を集めても、これほどの高温は得られないが、発振器によって太陽光の波長をそろえ、レーザーとして極小集中させれば、太陽の表面温度を超える高熱さえ得ることができる。太陽光利用の新しいかたちとしても、エネルギーサイクルの新しいモデルとしても、有意義な可能性をもつ研究であり、当面は、集光装置1基当たり400~500Wのレーザー出力を得ることを目標にする。