潮の満ち引きによる潮流を利用した、海洋エネルギー発電の一つ。一般的には風力発電と同じ原理で、水中に沈めたプロペラや水車などで潮の流れを受け止め、タービンを回転させて電気エネルギーに変換する仕組み。潮の流れは規則的なため、天候に左右されやすい風力発電や太陽光発電に比べて発電量の予測がしやすく、安定的な発電が見込めるなどの利点がある。一方、海中に設備を置くため、設備の腐食やメンテナンスの問題、また、海洋生物への影響といった課題もある。2012年3月17日、北九州市と九州工業大学、九州テクノリサーチなどの研究チームは、同市門司区の沖合に水車式の潮流発電実験機を設置した。関門海峡という日本有数の速い潮流を発電に生かすのがねらい。実験機は、箱型のフレーム内に直径・高さ1メートルの水車を垂直軸で2段に重ね、それを2つ並べた構造。出力は最大流速時(毎秒1.3メートル)で1.4キロワットを見込んでいる。事業費は財団法人北九州産業学術推進機構による助成金と、同市予算からそれぞれ1000万円の計2000万円が出ており、最長1年間かけて発電能力等を調査する。なお、潮流発電はイギリスやアメリカなどが先行している。08年12月にはイギリスのMarine Current Turbines社が、世界初となる潮流発電施設の商業運転を開始(最大出力1.2メガワット)。アメリカでも12年2月に国内初となる潮流発電の商用運転プロジェクトが動き出している。