弾道ミサイルが発射された際、ロケット噴射に伴う熱源を赤外線センサーで感知するための衛星。赤道上空の高度約3万6000キロに位置し、地球の自転周期に合わせて地球を周回する静止衛星である。ミサイル発射の探知から迎撃に至るミサイル防衛システムの初動を担う重要な一部で、冷戦を通じてアメリカやロシアが配備を進めてきた。2009年にはフランスもヨーロッパ初の小型早期警戒実証衛星「SPIRALE」を打ち上げている。日本は独自の早期警戒衛星を持たないため、アメリカの早期警戒衛星であるDSP衛星(defense support program satellite)の情報に頼っている。12年4月13日、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射実験を行った際も、発射直後にアメリカ軍より防衛省へ発射情報が届いている。一方、政府の第一報は発射から約40分後で、有事の際に緊急情報を地域住民に知らせる全国瞬時警報システム(J-ALERT)も使用されないなど、初動対応は課題を残した。