太陽や太陽によく似た星の表面では、エネルギーを急激に解放するフレアという爆発現象がしばしば発生し、太陽の場合は特に太陽フレアとも呼ばれている。太陽型の星は数々存在するが、ときに最大級の太陽フレアの100~1000倍もの超巨大フレアが発生することがあり、これをスーパーフレアという。この現象は今までに9例のみ確認されているが、京都大学の柴田一成教授らのグループは、惑星探査衛星ケプラーの観測データを解析することで、148の太陽型の星で365例のスーパーフレアを発見し、世界で初めて統計的な研究を実現することに成功。その成果を2012年5月17日に発表した。従来の理論では、スーパーフレアを発生するためには、近くにホットジュピター(Hot Jupiter)と呼ばれる、巨大で質量の大きな惑星の存在が欠かせないと考えられてきた。フレアは、黒点と黒点を結ぶループ状の磁場が切れたときに発生すると考えられるのに対し、スーパーフレアは、一つの黒点から伸びた磁場が他の黒点ではなく、ホットジュピターとつながって巨大なループをつくり、これが切れたときに発生すると考えられているためで、この理論はホットジュピター説などとも呼ばれている。しかし、同グループは、ホットジュピターが存在しない星でもスーパーフレアが発生することを確認し、太陽でもスーパーフレアが発生する可能性があることを指摘した。フレアは大量の放射線やプラズマを宇宙空間に放出するため、最大級の太陽フレアの際には、地球でも地磁気の乱れが起こるほか、電子機器を構成する半導体への影響や通信障害などが起こることもあり、太陽でスーパーフレアが発生すれば、甚大な被害は免れえない。なお、スーパーフレアのエネルギー放出量と発生頻度は反比例のような関係にあり、最大級の太陽フレアの100倍のものは800年に1回、1000倍のものは5000年に1回ほどの発生確率になることも併せて発表されている。