国立天文台、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、九州大学、東京大学、国土地理院などの研究者チームが、2009年2月13日付でアメリカの科学誌「サイエンス」に発表した、約677万地点の計測データによる、月の正確な地形図。研究チームは同時に、裏側全体を含む、月の重力分布も発表した。観測には、月周回衛星「かぐや」から発射されたレーザーパルスの往復時間によって正確な距離を求める、レーザー高度計の手法が使われた。極域を含む高精度の全球月地形図は、世界で初めて。これによると、月の赤道半径は1738.64kmで極半径は1735.66 kmだが、赤道扁平率は地球のほぼ半分の581.9分の1で、月の方が地球より球に近い。最高地点、最低地点ともに月の裏側にあり、平均半径1737.15kmに比べて最高地点は10.75km(1万750m)高く、最低地点は9.06km(9060m)低かった。また、リレー衛星「おきな」を経由して観測した重力場が、月の表と裏とでまったく異なることから、マグマの冷却速度が表側に比べて裏側の方が早かったということもわかり、月誕生の解明の進展が期待される。