惑星の大気が自転速度よりも高速で回転(循環)することで、超回転ともいわれる。金星では大気が地面の60倍もの速さで回転し、上空の広い範囲で秒速100mの暴風が吹き荒れている。金星は大きさや質量などが地球とよく似ているが、地球の常識では自転より速い風が吹くことは考えられず、原因未解明のまま金星最大の謎とされている。金星のスーパーローテーションは1957年にフランスのアマチュア天文家が発見し、74年にアメリカの探査機「マリナー10号」が確認した。2010年5月21日に打ち上げられた日本初の金星探査機「あかつき」は、10年12月上旬に金星の周回軌道に移る予定で、その後約4年間、金星上空を回りながら5台のカメラで大気の細かな動きを観測し、スーパーローテーションのメカニズム解明を目指す。なお、スーパーローテーションは土星の衛星タイタンでも生じていることが観測されている。