地球外知的生命体(extraterrestrial intelligence)の存在を電波観測などによって探索する計画。地球外文明知的文明探査を推進するアメリカの学術団体SETI(Search for Extra-Terrestrial Intelligence)が認めた観測で、2010年11月にアメリカや日本など9カ国の大学・天文台15機関が参加して行われる、初めての世界規模の合同プロジェクト。地球外知的文明探査はSETI観測とも称され、SETI@homeは、個人がグリッドコンピューティング(たくさんのパソコンをネットワークで結んでスパコンと同等の処理能力を構築すること)による参加が可能なプロジェクトとして知られている。ドロシー計画は、フランク・ドレイクらにより世界で初めて行われたSETI観測であるオズマ計画(1960年)から50周年を記念するイベントである。観測目標を海のある惑星が存在する可能性の高いオリオン座とみずがめ座の間とし、各参加機関が光学望遠鏡やパラボラアンテナで2回(2010年11月5~7日および12月の未定日)に分けて一斉に観測し、その後1カ月をかけてデータの解析を行うことにしている。人類なみの知性があれば、惑星から地球に届く何らかの信号を発生させることができるとの仮定に基づくが、これまでそうした電波の検出例はない。かつて1974年にプエルトリコのアレシボ天文台から、知的生命体が存在する可能性の高いと考えられるM13球状星団へ向けてメッセージ信号が発信されたことがあるが、信号が到着するには2万3500年後、その応答があっても4万7000年後と考えられている。オズマは、不思議の国を探検する物語の「オズの魔法使い」(ライアン・フランク・ボーム作)に登場するオズマ姫に、またドロシーは同作品に登場する主人公の少女ドロシーにちなんで命名されている。