生物の体内に備わっている、時計のような機能を果たす能力。生物時計ともいい、人間をはじめ多くの動植物、バクテリアにも見つかっている。広義では神経パルス波(神経が互いにやりとりをしている波動)、心拍、睡眠サイクル、概年リズム、寿命なども体内時計に含まれるが、一般的には、約24時間で繰り返される人体の周期的変化(概日リズム)をさす場合が多い。その正体は、全身の細胞に存在する時計遺伝子が作り出す周期振動で、ほ乳類では体温、睡眠などをつかさどる脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)に多くの時計遺伝子が集まり、体全体のリズムを作る親時計の役割を担っている。ただし、人間の体内時計は外部からの刺激がまったくないと、平均25時間まで伸びてしまう。そのため、1日1回朝日を浴びるなどして、24時間にリセットする必要がある、とされている。2011年8月、独立行政法人産業技術総合研究所生物時計研究グループの大西芳秋主任研究員らの研究によって、ハーブ類やパッションフルーツに含まれるハルミンという物質に、体内時計を遅らせる作用があることが判明。睡眠障害、時差ぼけの改善にも有望な成果として、注目を集めている。