節足動物門甲殻綱等脚目スナホリムシ科の生物で、学名はBathynomus giganteus。メキシコ湾や西大西洋などの水深200~1000メートルほどの海底に生息する。ダンゴムシやフナムシの仲間である等脚目は9000種類以上が知られているが、その多くは体長1センチ前後。しかし、ダイオウグソクムシは成長すると体長約45センチ、体重約1.7キロにもなり、「世界最大のダンゴムシ」とも呼ばれる。名前の「グソク」とは鎧兜(よろいかぶと)を意味する「具足」で、背中を覆う硬い甲羅に由来する。丸い背中に扁平な体、7対の歩脚、頭部・胸部・腹部の区別がつきにくい点などはダンゴムシにそっくりだが、歩脚とは別に板状の大きな遊泳脚を持ち、エビのような尾とともに使って水中を遊泳できる。食性は肉食で、海底に堆積(たいせき)したゴミや海面から落ちてくる魚の死骸、弱って動きが鈍くなった生物なども食べるとされるが、詳しい生態はわかっていない。三重県鳥羽市の鳥羽水族館では、2007年9月以来5匹が入館。現在はそのうち2匹を飼育展示しているが、その小食ぶりが飼育員を困惑させている。最初に入館した「No.1」は、入館482日目に初めてアジを1匹平らげた。もう1個体も入館9カ月は何も食べなかった。その後No.1は再び絶食状態となり、12年11月現在まで3年11カ月以上何も食べていない。国内では、ほかに東京の葛西臨海水族園や神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館などで飼育されているが、月に1度くらいは食べるという。