ソニーが開発した、大容量データの転送が可能な近距離用無線通信技術の名称。無線(ワイヤレス)で最大560Mbps(1秒間に560Mb)、実効最大で375Mbpsの速度の転送レートを実現する。従来、ビデオ映像などの大容量データを映像機器に転送するには、USBなどのケーブルで接続する必要があり、ケーブルの接続が複雑であるばかりか、機器周りが見苦しく配線されている場合が多い。トラスファージェットはアクセスポイントが不要で、4.48GHz帯の周波数を用いて、通信状況に応じた最適なレートを自動的に選択し、モバイル端末などを近づけてかざすだけで、データの転送が行える。広帯域無線技術を用いた高速無線転送技術で、1m程度の距離の転送が可能だが、実際には3cm程度の近接距離の使用を前提としているので、無線LANやブルートゥースとの混信も避けられ、データの漏えいも少ないと見られる。ソニーは、2008年1月に、トランスファージェットの規格を発表し、どのような機器でも接続が可能なユニバーサル・インターフェース(universal interface)とすることを提案。08年7月、ソニー、キヤノン、松下電器産業などを含む、日米欧韓の15社が連携して、トランスファージェットの相互接続仕様を確立するためのコンソーシアムが設立された。