「チャンドラヤーン」は、インドが独自開発した無人月探査衛星シリーズと、月探査計画そのものの名称で、サンスクリット語で「月の乗りもの」の意味に由来する。2008年10月22日、インドは国産の大型ロケットPSLV(Polar Satellite Launch Vehicle 極衛星打ち上げ用ロケット)により、チャンドラヤーン1号の打ち上げに成功し、これによりアメリカ、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)、ロシア、日本、中国に続き6番目の月探査衛星の打ち上げ国となった。チャンドラヤーン1号は、打ち上げ時の重量は1304kg、月到着時には590kgの機内に、インドが独自に開発した5種の観測機器の他、アメリカやヨーロッパによる6種、合わせて11種の科学測定装置を搭載。同年11月8日ごろに月に到着し、やがて月から100km付近を周回する円軌道に投入され、2年間にわたる観測活動を行う予定となっている。観測内容は、可視光、近赤外、マイクロ波、X線による月面のマッピング、月面全体の3次元マッピング、月面全面の鉱物分布の解明である。また35kgの衝突物体月インパクトプローブが搭載されており、観測の初期段階で月面に放出されることになっている。今後のチャンドラヤーン計画は、11年に2号機による無人機の着陸と月面探査車による試料の採集などについては言及されているものの、以降についての詳細は不明である。