ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が、宇宙の起源にかかわるさまざまな事象を観測する目的で、2009年5月14日に、フランス領ギアナの宇宙センターから打ち上げた宇宙望遠鏡と宇宙観測衛星の名称。地球から150万kmの距離にあるラグランジェ点軌道L2を周回する。「ハーシェル」は、3.5mという、これまででは最大の反射鏡をもつ宇宙望遠鏡で、赤外線や天王星を発見した18世紀イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルにちなんで命名された。温度の低い物体でも熱を放射することから、宇宙で最も冷たく最も遠い物体の赤外線放射の波長を走査することで、星や銀河の成り立ち、その過程への手がかりを探る。稼働年数は3年の予定。「プランク」は、マイクロ波を検出する超高感度検出器2個を搭載した観測衛星で、1918年のノーベル物理学賞受賞者、ドイツのマックス・プランクにちなんで命名された。ビッグバン理論の証拠とされる宇宙マイクロ波背景放射(CMB 宇宙から等方的にやってくるマイクロ波)を詳細に観測することによって、宇宙の誕生や、ダークエネルギー、ダークマターの研究・解明が進むことが期待される。稼働は15カ月を予定。