従来、家電などへの交流(alternate current<AC>)で行われている電源用電力の給電を、直流(direct current<DC>)で行うこと。現在、家庭内のほとんどの電化製品は直流で駆動している。しかし交流で送電された電力を家電に使うには、直流に変換(AC-DC変換)する必要があり、各家電製品には個々に変換器(コンバーター)を内蔵するか、ノートパソコンのように電源のACプラグと本体とをつなぐコードの間にコンバーターがおかれている。しかし省エネルギー効果が見込めることから、データセンターなどを中心に直流給電を導入する動きが進んでいる。デジタル情報を保守・管理するデータセンターでは、停電に備えてAC-DC変換を行い無停電電源装置(uninterruptible power supply<UPS>)に蓄電するが、交流給電の機器に合わせて再度交流に変換し、各機器内ではみたび直流に変換することになる。交流給電では、IT機器が電力を消費するまでに4割近くが変換ロスで失われるといい、直流給電にするとロスは2~3割に抑えられるとされる。また最近、普及しつつある家庭用の太陽電池発電は、直流で発電した電力を家庭内で消費したり、余剰電力を電力会社に供給するには、交流に変換する必要がある。こうしたことから電力会社から交流で送電された電力を、地域に設置した電源供給施設で一括変換して各家庭に直流給電を行う家庭内直流化という取り組みがある。各家庭は直流給電された電力でまかない、自家発電で生まれた余剰電力は、直流のまま電源供給施設に供給する仕組みである。変換ロスが低減することから、省エネルギーの効果が期待できる。しかし、現在普及している家電製品のすべては交流給電を前提とし、直流給電には適さない。また電圧値と安全性の問題など、解決を要する課題がまだ多い。