東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、原子炉冷却設備の設置運営に当たる作業員を、60歳以上の元技能者や技術者から募ろうとする取り組み。発起人は、住友金属工業などでエンジニアとして30年近い勤務経験を持つ山田恭暉(72)。2011年4月初旬に公表した呼びかけ文では、(1)原発の暴発を防ぐには10年単位で安定作動する冷却設備を設置、保守、運転し続ける必要がある、(2)作業は高度に放射能汚染された環境下で行わなければならない、(3)それができなければ首都圏も含めた広範な汚染が発生する可能性がある、と指摘。その上で、「次の世代に負の遺産を残さないために」、年齢的に被曝の影響が少なくて済み、経験豊富な60歳以上の退役技術者たちによる、ボランティアの行動隊結成を提案している。呼びかけ以来、大学教授、設計技師、溶接工など160人以上が参加を表明しており、今後は、政府や東京電力に対し、行動隊を組み込んだ現場作業要員編成の働きかけを強めるという。