放射性物質を吸収する働きが確認された微細藻類。0.01ミリの単細胞藻類で、葉緑素を多く含む。筑波大学系のベンチャー企業日本バイオマス研究所が2006年に発見し、汚水中の真菌(水カビ)の増殖を抑える働きに着目して汚泥浄化用に製品化した。加えて、さまざまな物質を取り込む性質をもつことから、北里研究所の伊藤勝彦博士が放射性物質の除染にも使えないかと提案し、山梨大学と東邦大学の研究グループが、福島県浪江町の側溝などにたまっていた汚染水で実証実験を行った。その結果、10分間で放射性ストロンチウムを8割、放射性セシウムを4割除去できることが確認された。また、放射性ヨウ素も24時間で4割ほど取り除かれた。東京電力福島第一原子力発電所では汚染水の浄化に鉱物のゼオライトが使われているが、ゼオライトはヨウ素をまったく吸収せず、ストロンチウムも約1時間で6割程度しか吸収しない。日本バイオマス研究所は今後、放射性物質の汚染水処理に加え、農地や住宅地などの除染にも活用できないか、さらに研究を重ねるとしている。