節足動物門クモ形綱ダニ目マダニ亜目に属する吸血性の大形のダニの総称。主に草むらや森林などの屋外に生息し、動物に寄生して吸血しながら、幼虫、若虫、成虫へと成長する。体長は数ミリから1センチで、最大の体長が1ミリ程度のイエダニに比べてはるかに大きく、吸血するとさらに膨大する。体は褐色で脚は8本。口先にある口下片(こうかへん)とよばれるのこぎり状の突起を動物の皮膚に突き刺して、体を固定し吸血する。メスの成虫は動物の体に一度吸着すると、満腹になるまで1週間以上も吸血を続ける。無理に引き抜こうとすると、口の一部がちぎれて皮膚に残る。日本には約40種が生息し、そのうち人を刺すものには、ヤマトダニ、シュルツェマダニ、フタトゲチマダニ、キチマダニ、タネガタマダニなどがいる。マダニ類にかまれると皮膚炎が起こるほか、ウイルスや細菌を媒介して感染症を引き起こすこともある。日本では、マダニ類が媒介する感染症として、ライム病、野兎病、日本紅斑熱、Q熱などが知られている。新しいウイルス感染症として中国で流行し、日本国内でも死亡例が報告された重症熱性血小板減少症(SFTS)は、フタトゲチマダニが媒介することが確認されている。