水中に置いた金属に、強力なレーザーを照射すると、表面の原子が分解され、プラズマが発生する。このプラズマは周囲の水に封じ込められ、膨張することができず、数万気圧の衝撃波となって、熱を伴いながら金属をたたく。つまり、金属を強くするため、熱しながらたたくのと同じ効果を、その表面にもたらすことになる。こうして金属の表面を強化し、改質する技術をレーザーピーニングという。溶接個所など、金属を溶かして接合した部分では、その表面に引っ張る方向の力が生じるようになるため、ひび割れが起こりやすい。だが、レーザーピーニングを施すと、逆に圧縮する方向への力が生じるようになり、ひび割れが起こりにくくなる。そのため、日本では、原子炉の溶接個所などを強化するべく活用され始めた。一方、名古屋大学などのグループは、水ではなく、セラミックスや金属の粉体を接着したシートで対象物を覆う、新たなレーザーピーニングを開発した。発生するプラズマによって、粉体が対象物に打ち込まれるため、より大幅な表面改質が実現される。