清岸寺(東京都品川区)にある樹齢250~300年と推定される桜の通称。東京23区内の桜としては最高樹齢で、品川区の天然記念物。江戸時代の高僧、祐天上人(1637~1718年)が清岸寺に自ら植えた桜として伝えられている。近年、樹勢が衰えていることから、清岸寺と祐天寺(東京都目黒区)が、2017年に迎える祐天上人300年御遠忌の記念事業の一環として苗木の増殖を決定。11年4月、住友林業(本社:東京都千代田区)が、約1年で祐天桜の組織培養による増殖に初めて成功した。一般的になされる接木による桜の増殖では、樹齢がそのまま引き継がれるのに対し、組織培養によって増殖された苗木は、幼若化という現象が起こり、若返ると期待されている。また、独自のDNA個体識別技術による鑑定の結果、既存の桜とDNAが一致しなかったため、祐天桜は新品種である可能性が高いと発表した。増殖された苗木は、花弁の調査などを行った後、祐天上人の出生地である福島県いわき市などゆかりの地に移植される予定。