火星と木星の間の小惑星帯にある直径約500キロの小惑星で、ケレス、パラス、ジュノーとともに4大小惑星と呼ばれている(ただしケレスの現在の分類は準惑星)。ベスタは、日本の探査機「はやぶさ」が到達した小惑星イトカワ(長さ約500メートル)よりも、はるかに大きく遠くにある。岩だらけの乾燥した天体で、表面の大部分が太陽系初期の状態のまま残っていると見られる。また、地球に落下する隕石(いんせき)の多くはベスタの破片と考えられている。1807年にドイツでアマチュア天文家のハインリヒ・オルバースによって発見され、数学者、天文学者のカール・フリードリヒ・ガウス(「ガウスの法則」の発見者)が、古代ローマの女神の名から命名した。4番目の小惑星として発見されたため、正式な識別表記は「4 Vesta」とされている。2011年7月17日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の無人探査機ドーンが、約4年(28億キロ)の長旅の末、ベスタの周回軌道に入った。着陸はせずに上空約2700キロで周回し、カメラと分光器で地形や鉱物の組成、分布などの調査を行う。調査期間は1年で、約180キロまで接近する計画。ドーンはその後、ケレスの観測へと向かう。