アフリカ東部のサバンナの地下に穴をほって集団で生息するネズミ目の動物。体毛はなく、前歯が口から大きく突き出す特徴的な外見からこの名がついた。80匹程度の集団でくらし、一組のオスとメスが繁殖して、その他のオスとメスは巣の防衛、食料の収集や子育てなどの労働を分業で行う、アリやハチのような階級社会を形成している。体長8~9センチで大きさはマウスと同じくらいだが、マウスの寿命が2~3年であるのに対し、ハダカデバネズミの平均寿命は28年と約10倍も長い。また、運動能力は20年以上衰えず、マウスなどでよくみられるがんにもなりにくい。ハダカデバネズミのゲノム(全遺伝情報)の解読に、アメリカのハーバード大学と韓国、中国、デンマークの共同研究チームが成功し、2011年10月13日付のイギリスの科学誌「ネイチャー」で発表した。解読結果によると、遺伝子の数は人や他のネズミと同程度の2万2561個だが、この中に固有の遺伝子グループが96種類あり、細胞の寿命を調節しているテロメアという染色体の先端部を保護する遺伝子や、DNAの傷を修復してがん化を防ぐ遺伝子などが活発に働いていることも判明した。今後、抗加齢(アンチエイジング)やがん予防研究への有用性が期待されている。