1986年にオーストラリアの天文学者マルコム・ハートレイが発見した彗星。約6年半の周期で、地球軌道から木星軌道付近の楕円軌道を周回している。彗星が86年まで発見されなかった要因として、彗星の軌道が木星の重力の影響によって太陽寄りにずれ、地球に近い軌道を通らなかったことが考えられる。2010年10月中旬から11月上旬にかけて地球に接近し、数十年に一度の観測のチャンスとなる。北半球では暗い夜空で北東の方角にぼんやりとした光として観測できる。NASA(アメリカ航空宇宙局)は07年、ハートレイ第2彗星を彗星探査機ディープインパクトの延長調査ミッションである「EPOXI(Extrasolar Planet Observations and Deep Impact Extended Investigation)」の対象に加えた。EPOXIとはディープインパクトを再利用したミッションで、太陽系外惑星の観測と新たな彗星の探査を行うもの。ディープインパクトは、05年に当初のミッションだったテンペル第1彗星の観測を終えたあとも余力があったため、07年に進路をハートレイ第2彗星へ向けて変更し探査目標とした。ディープインパクトは10年11月4日、彗星とのフライバイ(接近通過)が予定されており、彗星表面の写真撮影などの調査を行う。