アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)やアメリカ航空宇宙局(NASA)を中心とする研究チームが、地球から約57億光年(1光年は約9兆5000万キロ)離れた宇宙で発見した、数千という銀河が集まっている巨大銀河団。南天のほうおう座(Phoenix)の方向にあたるため、この名が付けられた。チームは、NASAのX線観測衛星チャンドラ(Chandra X-ray Observatory)や全米科学財団(NSF)の南極点望遠鏡(South Pole Telescope)など、10種の望遠鏡を駆使した観測によって、その中心銀河で年間約740もの恒星が生み出されていることも突き止め、発見と観測の成果を2012年8月15日に発表。これは、今までの記録であった年間で約150の恒星誕生のペースを大幅に上回っているうえ、通常の1000倍近いレベルに達するものとなり、観測史上例がない規模となる。通常、恒星は大量の高温ガスが冷却され、密度が高まることで生み出されるが、たとえばペルセウス座銀河団(Perseus cluster)などでは、銀河の中心にあるブラックホールが放出するジェットによってガスが加熱され、恒星の誕生が妨げられている。しかし、フェニックス銀河団の場合はブラックホールのジェットがガスの冷却を妨げるほど強くなく、ガス自体も多量であるため、大量の恒星が生み出されるものと考えられている。