温水などの熱い流体を内部に通すことで起電力を得るチューブ型のデバイスで、パナソニックが2011年6月20日に開発を発表した。2種類の金属や半導体の両端を接合して、その両方の接点を異なる温度に保つと、その温度差が直接電圧に変換されるゼーベック効果(Seebeck effect)が生じる。同社は、熱が伝わりにくいビスマスとアンチモンとテルルの合金と、熱が伝わりやすいニッケルとを傾斜させながら交互に積層してチューブ状にする構造を考案。その内部に温水を流して、外部を冷水で冷やすような簡単な構造でゼーベック効果による起電力が得られ、配管そのものを発電システム化することも可能になる。同社は13年3月15日には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、京都府のごみ処理施設東北部クリーンセンターで熱発電チューブを使った検証試験の開始を発表。同センターでは、ごみ焼却時の熱で蒸気をつくってタービンを回転させる「ごみ発電」を導入しており、今回は、発電後に環境に放出していた比較的低い温度の排熱を再利用する試みとなる。熱発電チューブを複数並べたユニットを配管の一部につなげ、低温排熱で沸かした86℃ほどの温水と施設内の冷却水を組み合わせるものとなり、温水1立方メートル当たりで400ワット以上の発電量を得ることを目標にするという。