強い風や波によって、海岸部に押し集められた海水が、沖へ流れ戻ろうとしてできる急激な水流。離岸流が発生するには、地形、波風の強さや大きさ、入射角など一定の自然条件が必要なため、何十日間も同じ地点に出現し続けることもあれば、わずか数時間のうちに移動、消滅してしまうこともある。とくに遠浅で海岸線が長く、外洋に面した砂浜海岸でよく見られ、突堤やヘッドランド(海岸浸食防止のための人工岬)といった海岸構造物の横側でも発生しやすい。通常、離岸流は陸から沖へ向けて幅10~30mの細長い流路を作るが、この時、大きなものだと流速は毎秒1.5~2mに達する。そのため流れに捕まった海水浴客やサーファーが、沖へ連れ去られ、おぼれて水難事故に至るケースが少なくない。もし離岸流に巻き込まれたら、陸(海岸)に向かって泳ぐことはせず、陸と並行に20~30m泳ぎ、流路の外へ出るよう心がけるとよい。または、流速が弱まる場所(陸から数百m)まで流され切るのを待って、脱出する方法もある。