花粉が飛散しないスギ。スギには雄花と雌花があるが、突然変異などにより、雄花の成熟過程で花粉が正常に発達しない「雄性不稔」という性質が現れたもの。2009年2月16日、富山県は、県森林研究所が、無花粉スギの種子による大量生産技術を確立したと発表した。スギ花粉症対策として、これまで林野庁や都道府県などが栽培種の開発に取り組み、04年に茨城県で「爽春(そうしゅん)」、07年に三重県で「スギ三重不稔(関西)1号」を作出。富山県でも07年に「はるよこい」が品種登録されているが、いずれも挿し木による増殖法が中心で、種子によるものは初めて。1992年に県内で見つかった無花粉スギに、発現はしないが無花粉の遺伝子を持ち、木材として優れた品種を人工交配し、9年の歳月をかけて優良な母樹を1本選定。これに、同じく無花粉の遺伝子を持つ石川県産の「珠洲(すず)2号」を掛け合わせ、約50%の確率で無花粉スギとなる種子を作出した。県では、2012年に苗木5000本の出荷を目指している。