チューリップの組織に多く含まれる抗菌物質で、病原菌感染による枯死を防ぐ作用がある。富山県立大学生物工学科の加藤康夫准教授を中心とするグループは、チューリップの花弁からチューリッパリンを安定的かつ簡単に取り出し、機能性バイオプラスチック原料となる化合物(α-メチレン-γ-ブチロラクトン)を製造する方法を開発。現在特許出願済みで、2009年3月27日から開かれる日本農芸化学会で発表される。この研究は、同じくチューリップの花弁に多く含まれる抗菌物質チューリッポシドに、ある酵素を作用させることで、チューリッパリンへと変換、溶媒による分別抽出で効率的に製造するという手法。α-メチレン-γ-ブチロラクトンの製造はこれまで石油に依存しており、エネルギーを大量消費していた。富山県は、県花であるチューリップの球根生産量が全国一。加藤准教授の試算では、県内で球根生産時に廃棄される花弁は年間100トン以上に及ぶという。チューリッパリンが実用化されれば、バイオプラスチック原料のほか、液晶パネル用光学フィルムやリチウム電池電解液、さらに抗菌作用を活用した害虫忌避剤など、多くの用途に利用でき、石油に代わるバイオマス資源として期待されている。