産業技術総合研究所の知能システム研究部門が開発した、身長158センチ、体重43キロの女性型ヒューマノイドロボット(人間型ロボット)。HRPはHumanoid Robotics Projectの略で、音声認識をはじめ、二足歩行やなめらかな動作、表情をつくる機能を備える。開発発表は2009年3月に行われたが、新しい機能の追加とともにパフォーマンスの幅を広げ、ファッションショーなどにも参加している。10年10月14~17日に東京の日本科学未来館で開催された「デジタルコンテンツEXPO 2010」の16、17日においては、独自開発のソフトウエア「ボーカリスナー」と「コレオノイド」を導入し、ボーカルとダンスのデモンストレーションを披露して話題になった。ボーカリスナー(VocaListener)は、ある歌い手の歌唱の録音データをもとに、その歌い方のクセや特徴を抽出し、歌声の合成時に再現するもの。ボーカル音声自体は、「初音ミク」で知られる既存の歌声合成ソフト「ボーカロイド(VOCALOID)」が使われた。また、歌い手の歌唱時の表情の動きを抽出し、歌声の合成にあわせてパターンを反映させるボーカウォッチャー(VocaWatcher)も導入されているが、今回は使用されず、手作業でプログラミングが行われたという。コレオノイド(Choreonoid)は、ヒューマノイドロボットの全身動作プログラムを簡単に作成・編集する統合ソフトウエアで、ユーザーはコンピューターのディスプレー(画面)上にいるCGのロボットモデルを動かし、実際のロボットにとらせたい動作の開始点から終結点にいたるまでのいくつかのキーポーズ(key pose)を設定していくだけで、一連の動作がプログラミングされる。その際、バランスを確保するための足の設置状態に無理があったり、着地時の衝撃が過大であったりすれば、安定して動くことができるようにキーポーズの補正も行われ、今回はボーカル&ダンスユニットTRFのSAMが振り付けを行った。