2013年2月15日、現地時間午前9時26分(日本時間午後12時26分)ごろ、ロシアのチェリャビンスク州上空に巨大な火球状の隕石が飛来し、空中爆発とともに落下する非常事態が発生。隕石は大気圏に突入すると、前方の気体を押しつぶして急激な温度上昇をもたらす断熱圧縮(adiabatic compression)を起こして燃焼し、ときに爆発する。このたびの隕石落下では、州都のチェリャビンスク市の上空20~25キロで隕石が爆発して破片が飛散しており、その様子はドライブレコーダーなどで数多く撮影され、動画投稿サイトやテレビニュースで広く報じられた。アメリカ航空宇宙局(NASA)によれば、隕石の大きさは大気圏突入前で約17メートル、質量は約1万トンで、大気圏突入時のスピードは時速約6万4000キロ(約マッハ50)に達したとされ、その衝撃波(shock wave)が放ったエネルギーは、TNT火薬換算で広島型原爆の30倍以上となる約500キロトンに相当したという。ロシアでは1908年6月30日にも、何らかの小天体と思われる物体がシベリア上空で大爆発を起こす事態にみまわれている。このツングースカ大爆発(Tunguska explosion)によるエネルギーは約1万キロトン相当とされ、今回の隕石がもたらしたエネルギーの規模はそれに次ぐ。ロシア科学アカデミーの調査で、州都から西方約60キロに位置するチェバルクリ湖の凍結した湖面上にて1センチほどの黒い破片が採取され、鉄分含有率が約10%、かんらん石や亜硫酸塩などを含むなど、隕石の性質が確認された。落下場所の地名に基づき、このたび隕石はチェバルクリ隕石(Chebarkul meteorite)と命名される方針という。