シャープ製のモバイルインターネット端末。2009年9月に、メールやウェブ、パソコンデータの活用が手軽にできる電子辞書サイズのモバイル端末として発売された。標準モデルのPC-Z1と電子辞書カードが付属のPC-Z1Jがある。これまでのパソコンは、基本ソフト(OS)やアプリケーションソフトウエアの高機能・大容量化にともない、高性能で高速な処理速度を実現するための技術開発が進められてきたが、ここにきて消費者が求めるものが「なんでもできるパソコン」から「必要なことができるパソコン」へと移行しはじめている。この表れが、08年から09年にかけて日本で爆発的な人気を呼んだミニノートである。ミニノートは、処理速度や記憶容量などは一般のパソコンに比べて劣るが、機能や用途を限定したことで低価格化を実現、頭打ちといわれるパソコン市場で一気に広がりを見せた。こうした状況下で発売されたネットウォーカーは、かつて日本における携帯情報端末(PDA)の代名詞であったザウルス(Zaurus)を開発したシャープの製品であることからも期待を集めた。
外観は約161mm×109mmとほぼ新書サイズで、重さは約409g。メインメモリーは512MB、記憶装置は4GBのフラッシュメモリーを採用、CPUはAV機器や家電など用途が決められた機器に利用されるARM(アーム)ベースの組み込み用プロセッサーi.MX515を使用している。OSにはオープンソースのLinuxディストリビューションの1つであるUbuntu(ウブンツ)を採用、キーボード操作だけではなく、タッチパネル機能も装備している。
10年4月、シャープはネットウォーカーの新機種PC-T1の5月発売を発表した。液晶タッチパネルで、専用のタッチペンによる手書き入力にも対応している。外観も150mm×90mmと文庫本サイズで、OSやハードウエアの基本仕様はPC-Z1シリーズと同様である。12種類の電子辞書を内蔵し、電子書籍にも対応。キーボード仕様のPC-Z1シリーズがビジネス向けだったのに対し、今回のPC-T1はより一般向けとなっている。