沖電気工業(OKI)が開発した、ユーザー本人の声を素材に使って、音声を合成するソフト。パソコンなどで文章を入力すると、本人の声の質や、イントネーションのクセ、語尾に現れる口調までも再現し、発話してくれる。病気で声帯を失う事態や、会話が困難になる障害が想定される患者に向けての活用が期待されるが、前もって、ユーザー本人の声や発話の情報をデータベース化しておくことが前提となる。データベースの作製には、ユーザー一人ひとりに対して専門のスタッフが個別に当たり、(1)まず、日常会話用なのか、講演用など特殊な用途なのかを選択してもらう。(2)同社が用意した、およそ1000の文章をユーザーに読みあげてもらい、サンプルとなる約60分相当の音声データを録音。身近な人の名前や、ユーザー特有の言い回しなども追加できる。(3)サンプルデータを波形化し、その要素を細かく分解しながら整理して、音声コーパスと呼ばれるデータベースが完成する。実際の音声合成に際しては、(4)まず、入力された文章から単語や文節を解析して、文章全体の構成を判断。(5)それを受けて、単語の発音や文節同士のつながり、全体のリズムなど、本来の自然な発話に近づけられそうな波形をもつ要素を、音声コーパスの中から集め、合成する。2008年7月24日から発売が開始され、標準価格は税別100万円で、データベースの作製には約1カ月を要す。商品名は双子座の弟星「ポルックス(Pollux)」に由来。