生物種が持つ遺伝情報のDNAを、商品管理で使われているバーコードのように登録した識別コード。DNAからごく一部を取り出して標準化された簡単な遺伝情報タグを利用し、これを登録してデータベース化することで、わずかな肉片や血液からでも、飲食店や販売店が提供する食品が、正しい表示であるかどうかを確かめたり、病気を運ぶ昆虫類や動物に対して事前に防疫体制をとることなども可能となる。そのためのシステム作りとして、全生物種のDNAバーコードのデータベース化を目指す国際的なプロジェクトが進行している。2004年に、50カ国以上の機関と団体が参加して、アメリカに事務局をおくCBOL( the Consortium for the Barcode of Life)が設立され、魚や昆虫類、鳥など約5万種、約56万体のバーコード情報が収集されている。しかし、このバーコード化の方法では、遺伝子の壊れたコピー部分が誤って記録され、異なった個体が認識されるおそれがあるとの指摘もなされている。ところで、これまで地球上に確認されている生物種は約170万種とされているが、まだ約800万種が未確認であるとする生物学者の意見もある。