海水や泥の中にすむ単細胞の油生成藻類。大きさは直径0.005~0.015ミリの球形で、水中の有機物をもとに、重油に相当する炭化水素をつくり、細胞内にため込む性質をもつ。油を生成する藻類は他にもボトリオコッカスなど複数の種類が知られているが、筑波大学の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チームが、オーランチオキトリウムは他の藻類より10倍以上も高い効率で油を生成することを発見した。研究チームは、アジア各地で採取した計150株のオーランチオキトリウムを培養して性質を調べた結果、沖縄の海で採れた株が最も高い油の生成能力をもつことを突き止め、2010年12月14日に茨城県で開かれた国際会議で発表した。研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば、面積1ヘクタール当たり年間約1万トンの油が作り出せる。渡邉教授によると、大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル当たり50円以下で供給できる見通しだという。研究チームは工業利用に向けて特許を申請している。