2011年8月下旬にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン。8月20日、カリブ海ドミニカ東沖約305キロで発生。翌日、北大西洋西部・メキシコ湾・カリブ海地域で同年9番目の熱帯性低気圧として、アメリカ国立ハリケーンセンター(National Hurricane Center NHC)から「アイリーン(Irene)」と命名された。22日、風速33メートルを超え、5段階あるハリケーンスケールのうち第一段階の「カテゴリー1」を満たしてハリケーンとなった。同日ドミニカ北部を襲い、翌23日にはバハマ諸島を直撃したのち進路を北へ変更。25日には942ヘクトパスカル、最大風速約53メートルとなり、カテゴリー3にまで成長した。26日にはカテゴリー2に弱まりながらもアメリカ本土に迫り、ニューヨーク州、メリーランド州など7州が非常事態宣言を発令。230万人に避難命令が出された。そして27日、957ヘクトパスカルでノースカロライナ州ケープルックアウト付近に上陸。熱帯暴風雨(tropical storm)となりながらも東海岸沿いに北上し、28日未明までにはニューヨーク市を直撃した。通常ハリケーンは北上にしたがい勢力を弱めるもので、ニューヨーク州にここまで大きな勢力のものが近づくのは、1985年の「グロリア(Gloria)」以来のこと。29日にはカナダ東部に抜け、熱帯暴風雨としての勢力を失ったが、全米、カナダで死者40人以上、停電約750万世帯などをはじめ、総額約100億ドル(約7700億円)とも言われる被害をもたらした。